2018年03月24日

「キプサングは前夜から下痢で医者に手当を受けていた」(スポーツライターの武田薫さん)

定期購読している『ランナーズ』の最新号を読む(いつも晩酌しながら読む)と、注目すべき箇所があった。
スポーツライターの武田薫さんの連載コラムの「マラソンの行方」(この人のこのコラムはいつも愛読している)で、
「実は、優勝候補の筆頭であるキプサングは前夜から下痢で医者に手当を受けていた。この情報はレース前にある筋から私の耳にも入っていた」
とある。

ウィルソン・キプサング(ケニア)は、今年2月の東京マラソンの時は、12キロ過ぎで早々と途中棄権。キプサングは前年の東京マラソンにて2時間3分台で優勝した。32キロ過ぎあたりからトップ独走で、その優麗な走る姿を見て、私はテレビ画面にかぶりつくくらい瞠目した。マラソンのレース展開で感動することはあるが、走る姿そのものであれほど魅了されたことはなかった。

今年は、そのキプサングは、最初の集団走の時から精彩を欠いているように思えた。そして、早々と棄権。「下痢で医者に手当を受け」るほど、体調を崩していたとは…。

今年に入ってのマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)選考レースである東京、びわ湖、名古屋ウィメンズをテレビ観戦しての感想を付け加える。
日本人の有望若手選手を見ていて思うのは、大学で活躍した選手も、実業団の1,2年目で故障すると、その後がたいへんだ。設楽兄弟も、啓太は故障、悠太は故障しなかった。学生の頃まで「設楽の遅い方」と言われていた悠太は日本記録を更新。双子でこれだけのタイム差が生じている。同じ東洋大出身の服部勇馬は故障中で欠場。駒沢勢の村山謙太、窪田忍、そしてびわ湖で日本人1位だった中村匠吾もみな1,2年目で故障している。
女性では、地元熊本出身で応援していた前田彩里も1年以上、大会で参加できないほどの故障をして、復帰戦である名古屋ウィメンズでは前半、早々とトップ集団から脱落した。
故障はこわい。若き有望ランナーの才能をも奪う。
posted by 太田黒 剛 at 11:22|

2018年03月10日

『3億人の中国農民工  食いつめものブルース』(山田泰司著)を読む

昨日、『3億人の中国農民工  食いつめものブルース』(山田泰司著)を読了。
中国に語学留学の経験がある上海在住の日本人ライターが、個人的に偶然、知り合った地方の農村出身者、いわゆる農民工の実情を描いたノンフィクションである。
2015、16年の上海では、古い集合住宅や廃墟がどんどん解体され、そうした住居に住まわざるを得ない地方からの出稼ぎにきている農民工は、住む所がなくなる苦境にたたされている、という。

出稼ぎの地、上海へ来ている彼ら、彼女らの住環境はすこぶる悪い。そんな住まいでも、上海では住宅費の高騰により、家賃は安くはない。その住まいすらも追い立てられる状況が進行している、とある。

私は一昨年の16年5月に上海へ行った。この本に描かれている状況が進行中の時だ。その上海行きは、個人的な旅行とは違い、短い滞在(4泊5日)の添乗業務だった。
<あの時、上海では、そんなこともあっていたのか…>
確かに、上海のホテル宿泊料も値上がりしていた。私はお客さんが宿泊するスーペリアクラスのホテルとは別のすぐ近くの最も安いミニ・ホテルを利用した。バックパッカーあがりなので、どうしてもそうしたくなる習性がある(苦笑)。上海の繁華街、南京東路に近いとうこともあるが、部屋は狭い、窓なしで、かび臭かった。それでも朝食なしの1泊¥4,000。私の感覚からしたらこの1泊¥4,000は高い!

『3億人の中国農民』でも、上海に出稼ぎにきている農民工は、単身者の場合、ひと月の家賃は日本円で5千〜1万円程度が予算のようだ。上海からそんな劣悪だが安い住まいがなくなっている。

私が添乗した旅行のテーマは美術関係だった。芸術家夫婦が上海郊外に個人経営の美術館を運営しており、そこを訪ねた。上海の中心地から渋滞がなければ車で1時間程度。美術館には、レストラン、カフェが併設され、見事な施設である。3階建ての最上階はその芸術家夫婦の住居となっており、そこにも案内してもらった。お洒落て、すばらしい施設だった。

どうも、上海の芸術家たちは、上海の街中の喧騒、それからPM2.5などの大気汚染を嫌って、郊外へと移住する人もいるようだ。資金もある人たちはそれができる。

一方、『3億人の中国農民』には、地価高騰や廃墟の解体で安い住まいがなくなり、上海に居たい(稼ぎたい)のに居られない。さりとて郷里には稼げる仕事がない農民工の実情が描かれていた。
posted by 太田黒 剛 at 11:36|